どのタイプの自転車に取り付けるのか
子供を乗せる目的で、電動アシスト自転車を検討する場合、次のような選択肢があります。
- 前後に子供2名乗車可能な子供乗せ専用車
- 専用車ではないが、前後に子供2名乗車可能な自転車
- 前又は後ろに子供1名が乗車可能な子供乗せ専用車
- 専用車ではないが、前又は後ろに1台、チャイルドシートを取り付ける
以上の4つのパターンが考えられます。
ここで言う「子供2名乗車可能な子供乗せ専用車」とは、BAA(幼児2人同乗用自転車安全基準)のマークなどが表示された、幼児2人乗り用にフレームやブレーキを強化した自転車と言う意味です
1.の場合、必要に応じてもう1台、2.の場合1~2台、4.の場合は1台のチャイルドシートを購入することになります。価格はおよそ1万~1万五千円、最近ではデザインの優れた外国製のチャイルドシートも2万円前後で販売されています。
チャイルドシート保証期間は通常1年、耐久年数も1~2年程度になります。子供の成長と共に窮屈になって、交換が必要になることもあります。あくまでも消耗品と考えて、選択する事をお勧めします。
法令にあったシートを選んだ方がリスクが少ない
国内で製造販売されるチャイルドシートのほとんどが、製品の安全を保証するSG基準(SGマーク)を基に作られていて、製品の欠陥が原因で、人身事故が起きた場合、一億円を限度に対人賠償保険金が支払われます。
SG基準では、電動、非電動限らず、子供一人乗せと、子供二人乗せではチャイルドシートの構造に違いがあります。
違いはヘッドレストの有無で、子供一人乗せに取り付ける場合は、前後席共にヘッドレストは不要ですが、子供二人乗せに取り付ける場合は、前後席共ヘッドレスト付のチャイルドシートを取り付けなければいけません。 但し、子供二人乗せ自転車でも、子供一人乗せの用途にしか使わない場合は、ヘッドレストは不要になります。
国内で販売されている有名メーカー製電動アシスト自転車には、SG基準のチャイルドシートがオプション又は標準搭載されています
ネットなどで購入して、自分で取り付ける人は注意が必要です。
その他、道路交通法で年齢制限、ヘルメット着用の努力義務、JIS(日本工業規格)ではリアキャリアの「クラス」で、チャイルドシートを「取付できるクラス」の制限があります。
特に年齢制限(6歳)を超えての乗車や、耐荷重の低い(クラス25未満)キャリアにチャイルドシートを取付た場合、道路交通法で取締りの対象になるばかりか、事故が起きた場合でも過失が問われ、自転車保険など加入していても、不利な立場になります。
自転車用幼児座席のSG基準一覧表
取り付け 箇所に よる区分 |
幼児の体重 の上限 による区分 |
設置方式 による区分 |
ヘッドガード の有無 |
一般自転車 への摘合 |
幼児二人同乗用 自転車への摘合 |
使用年齢、 身長の目安 |
前形 (前部取付) |
15Kg 以下用 |
ハンドル中央部 への設置 |
有り | ○ | ○ | ①1歳(12ヶ月以上) 4歳(48ヶ月)未満 ②身長100cm以下 |
無し | ○ | × | ||||
ハンドルへの 引っ掛け設置(後付け) |
有り | ○ | ○ | |||
無し | ○ | × | ||||
後形 (後部取付) |
22kg 以下用 |
リアキャリア への設置 |
有り | ○ | ○ | ①1歳(12ヶ月以上) 6歳(72ヶ月未満) ②身長115cm以下 |
無し | ○ | × |
※ 一般自転車とは、幼児一人を同乗できるシティ車(電動アシスト自転車を含む)を指します。
※ 幼児二人同乗用自転車とは、幼児二人を同時に同乗できるように特別に設計されたシティ車(電動アシスト自転車を含む)を指します。
※ チャイルドシートの荷重が小さくても、最大体重22kgを超えて、乗車させることは出来ません。
※ 道路交通法では年齢6歳(72ヶ月)を超える児童は、自転車用幼児座席に乗せてはならないと言う規定されています。
ステキなシートに子供を乗せ、颯爽と走りたい!!
街中で、ステキなデザインのシートを見かけますが、ほとんどが輸入品です。 私も「あんなシートに子供を乗せて、颯爽と走りたい!!」と思っているお母さん、ちょっと待ってください。
チャイルドシートを選ぶ場合、第一に考えなければいけない事は、その自転車にシートを取り付け可能かの確認です。
取り付けする場所の違いで
- リアキャリアに取り付け
- ハンドルに引っ掛けて取り付け
- シートチューブに取り付け
以上の3つの取り付けタイプがあります。
尚、20インチ以下の小径車には、チャイルドシートの取り付けは不可となりますので、注意して下さい。無理やり取り付けた場合、子供を乗せただけで前輪が持ち上がってしまったり、運転中もハンドルがふらついたりして、とても危険な状態になります。
スタンドについても、一本スタンドの自転車は取り付け不可となりますので、必ず両立スタンドに変更する必要があります。一本スタンドの使用時は、自立状態でも車体が傾斜していて、そこにシートを取り付けて、子供を乗せれば直ぐに倒れてしまうのは、想像ができると思います。
1. リアキャリアに取り付ける場合
自転車には、取り付け可能なキャリアの「クラス」と、キャリア自身の最大積載量が決まっていて、「クラス18」とか「クラス25」だとか表記されていいます。
後ろにチャイルドシートを取り付ける場合、「クラス25」以上のキャリアに取り付け可能と規定されています。
「クラス25」の場合、最大荷重はチャイルドシートの重さを含めて25kgまでとなり、実際に乗せることができる子供の体重は、21~22kgまでとなります。
2. ハンドルに引っ掛けて取り付ける場合
上の表のように15kg以下の体重制限や、年齢制限があります。 前の場合でも荷重制限はチャイルドシートの重さを含めて15kgまでとなり、実際に乗せることができる子供の体重は、11~12kgまでとなります。
規定の体重以上で使用すると、前ハンドルの操作性が著しく下がり、スムーズにハンドルを切るのが難しくなります。
3. シートチューブに取り付ける場合
一番問題が多いのはこのタイプで、外国製のシートに多くあります。 取り付けには以下の問題が出てきます。
- シートチューブの強度がチャイルドシートの取り付けに適さない
- シートチューブとバッテリーの隙間が無く、固定金物が取り付けできない
- シートチューブの断面形状が円形でないと、固定金物が安定して取り付けできない
- 金物がサドルや後ろの泥よけ、タイヤなどに当たってしまう
- 子供の座る位置が、後輪の中心より外側になってしまい、前輪が持ち上がってしまう
アルミ製フレームや、軽量化の為に極端に肉厚を薄くしてあり、見た目程強度の無い自転車がある。 シートチューブを挟み込む形の金物を使って固定するため、肉厚の薄いパイプを使っていると、荷重でパイプがつぶれてしまうおそれがある。
一般のママチャリなどの自転車はこの問題が出ないが、ほとんどの電動アシスト自転車は金物やネジなどが当たってしまう
フレームパイプの断面形状が楕円形や異形の車種には不向き
シートが持ち出し構造になり、止まっている場合は問題ないが、走ると上下に揺れて、泥よけなどに当たってしまう。 あらかじめシートと泥除けとのクリアランスを大きく取っておかないと、不整地や段差を通過する時にシートがぶつかってしまう。
運転者がペダルを漕ぐ時、後席の子供の足にぶつからないスペースを確保すると、シートを極力後ろに寄せる必要があるため、重心が後部に寄りがち
などと取り付けには問題が多くあります。
これはシート自体の安全性能の問題ではなく、自転車との相性の問題です。 シートチューブには運転者と、チャイルドシートの両方の荷重がかかり、フレームに大きな負担をかけることになります。
一部店舗では、特別に作った金物やネジを使い、このタイプの取り付けサービスを行っている店もあるようですが、強度の問題を無視して取り付けした場合、フレームが割れたり、折れたりして重大事故に合う可能性があります。
どうしても外国製のチャイルドシートを取り付けしたいと言う方は、リアキャリアに取り付けできるタイプを選ぶべきです。
一部メーカーでは、リアキャリアの取り付け金物を別売で販売しているブランドもあります。 この金物を使用した場合、金物の高さで、シートの取り付け位置が高くなり、乗せ降ろしが少し大変になると言う欠点があります。
掴まる握りハンドルは前、横どちらが使い勝手が良い?
国産、輸入品に限らず、チャイルドシートにはシートベルトが必ず付いていますが、輸入品に少ないのがシート前方の握りハンドル
輸入品の中には、握りハンドルの無いチャイルドシートもあります。
自転車が左右に振られ場合には、横にあった方が掴まることで体を安定させることができます。
逆に急ブレーキや急発進で前後に体が振られた場合は、前に握りハンドルがあった方が体を安定させることができます。 また、体が前方にすべり出すのを防ぐ効果もあり、急ブレーキ時などにもあると安心です。
もっとも、シートベルトを使用が前提で、握りハンドルがあるからと言って、シートベルト無しでは、走行中や転倒時に子供が放り出されてしまう危険があります。
安定性から見ると、前部の握りハンドルに軍配があがります。 欠点は、子供の乗せ降ろしに足が引っかり、大変と言うところでしょうか。
安全を考えると必要不可欠な機能です。
チャイルドシートの脱落防止は必ず取付ける
チャイルドシートは、しっかりと固定されているように見えて、使っているうちに徐々にネジが緩んだり、取り付け金物が曲がってしまい、固定が緩くなってきます。
毎日使っていると必ず起こる事なので、走る前の点検で必ず確認しておきたい項目です。
固定が緩くなったまま自転車を発進させた時、チャイルドシートがキャリアから脱落するのを防ぐため、安全ベルト(補助紐)が必ず装備されています。
この安全ベルト(補助紐)は通常、シートポストに巻き付けて、万一の場合に備えることができます。
自分で取り付けする場合は、この安全ベルト(補助紐)の取り付けを忘れないように、注意して下さい。
チャイルドシートの取り付け難いリアキャリアー
チャイルドシートの固定には、ほとんどの場合キャリアーの下面に、ボルト穴の開いた取り付け金物を使い、キャリアをシートと金物で挟み込み、ボルトで固定する方法をとります。
一部の車種にキャリアの型がはしご状(ラダー)のタイプがあります。 このタイプはキャリアの外周部にしか、取り付け金物を固定することが出来ず、ボルトを締めこんでも金物が曲がってしまうだけで、きちんと固定できません。
自転車がちょっと横に振られただけで、チャイルドシートが動いてしまい、とても危険です。
このタイプのキャリアにはチャイルドシートを取付できません。
右写真のような形の「クラス25」以上の規格の、はさみ込み可能なタイプのキャリアーに取り替える必要があります。
チャイルドシートに子供の乗せる順序、降ろす順序
チャイルドシートに子供を前後に乗せる場合、降ろす場合、順序を間違えるとバランスを崩し、子供を乗せたまま自転車が転倒するおそれがあります、
この順序だけは確実に覚えて下さい。
■ 子供を乗せる時
後ろに子供を乗せてから前に子供を乗せる
■ 子供を降ろす時
前の子供を降ろしてから後ろの子供を降ろす
後ろのチャイルドシートは、スタンドを掛けた状態だと割と安定していますが、前のチャイルドシートは、ハンドルをしっかりと押さえていないと、少し子供が動いただけで 自転車のバランスを崩します。
この順序をしっかり覚えて、事故に合わないよう注意して下さい。